“うっかり口を衝(つ)く言葉は、潜在意識の底にあるその者の本心なのだ”
わたくしは他人からうっかり口に出た言葉をあげつらうべきではないと心している。
他人からうっかり口に出た言葉を買って生きているからだ。
揚げ足を取って仕事をしているということだね。
本日は死んだらそこに入るとされている墓の話。
週末、墓地へ“先祖がいる”と“される”墓参りへ出かけると
荒れ放題の墓に出くわすことがおありだろう。
苔むして緑がかった墓石を砕き割って突き出した太い木やら
崩壊寸前で、今にも倒れかかって来そうな無縁仏の山々に
驚いたことはないだろうか?
もちろん修繕の必要があるので一定の期間看板を立てて持ち主の親類縁者に告知する。
ここまで荒れた墓を見過ごしながら生きている者が存在していたら会ってみたい。
要は名乗り手は出ないということだ。
神職や住職が墓を清めた後で墓石は区画ごと処分整理されるわけ。
本題はここから。
官公庁舎の某所指定土木業者が斫(はつ)るわけだけれども
発注が出たとして、実際にはどの業者も動きはしない。
祟りが恐いからだ。
現場で汗を流す彼らの勘は鋭い。
すぐに腰から下が重くなる。
無理に掘り出せば重く感じるだけでは済まなくなることを肌で感じるわけだ。
そこでわたくしの出番。
わたくしが、お浄めをするんですよ~。
わたくしの流儀・段取りは非常に簡単。
深夜2時、最も墓地に近づいては危険だとされる時間に現場入りする。
霊界の入り口が開いている時間とか何とか...。
といったような法則は、わたくしには無用だ(プロだからね)。
最後はギャラの交渉である。
クライアント先の担当者は決まってこのように言う。
“草木も眠る丑三つ時に、ただでさえおっかない墓地に行けだなんて
オレだったら1億もらっても嫌だと答えるね”
わたくしは指を鳴らす。
決まった。
その値段で行こう。
フロイド氏と
わたくしに
共通点があるとしたら
葉巻き好き
というところかな
Rav(La vie!).Hiroaki Ohori
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