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キャンプ場

更新日:2月29日

8年前のとある日、私が当店舗の予約電話をとった時の話をしたい。

キャンプ場に併設されたホテル支配人からの依頼だった。

現地に赴く前日にも丁寧なリコンファームをいただいた。

交通費を私が立て替えなければいけなかったのにはしょっぱい対応だと思ったが

こちらの訪問を心待ちにしてくれている態度にすっかりほだされてしまっていた。

ご依頼内容は2つ。


数年前にキャンプ場で行方不明になった後、

他殺死体で見つかった女の子の霊体を成仏させること。

そして犯人(ホシ)は未だ上がっていない。

なので現地に入って私に見当をつけて欲しいということだった。


当日の夜、訪れたホテルロビーの辺りは陰気で気が滅入るほどだった。

せわしそうにしているカウンター越しのフロントマン3人は

完全に私の姿が見えていないかのようだった。


そこへ、だらしのない笑顔を浮かべたベルボーイが私に近づいて来た。

彼は私のバッグを取り、フロントを通らずエレベーターの方へと促した。

違和感は長い廊下を歩かされているうちに確かなものとなりつつあった。

星ひとつないどんよりとした夜空が見守る部屋の中で、

クライアントの支配人が待っていた。


 もうおわかりだろう。


でっぷり太ってバタ臭い顔をした黒服姿の支配人こそ女の子に手をかけた張本人だ。

横に突っ立っている撫で肩で小柄なベルボーイがその助手。

私の頭の中で2人が代わる代わる女の子の上に乗りかかっているのが確認できた。

さっきから腐った臭いがここでしている。


私は何喰わぬふりをしてクローゼットを開けた。

思った通り血だるまになって殺された女の子がこちらを見つめていた。

私はすぐに女の子がかけて欲しそうな言葉をかけた。

さまよう霊体を納得させて霊界に帰すには、

その霊体が生きている間には絶対にかけられたことがなく、

且つ今も欲している言葉をかけて差し上げることだ。


“変態女!大人の男をたぶらかすんじゃねぇ!!”


すっかり頭でっかちになっていて耳年増な餓鬼はケラケラと

乾いたアニメキャラのような声を出して笑いながら消えた。

この変態餓鬼は大人2人を今だに揺すっていたのだった。


支配人とベルボーイには備え付けのハンガーで1人ずつ頭をカチ割ってやった。

私はそれから支配人には

“いくら餓鬼でも毒饅頭を喰わしてもらったら揺すられ続けるのは当然だろ?”

と言い、

死んでなお、まだ支配人に媚びたような態度のベルボーイには

“良い年齢なんだから、小さい女の子の足なんか持ってないで、

 自分をしっかり持てよ!”

と言ってやった。


支配人とベルボーイは姿を消した。神上がりしたということだ。

 我に返るとハンガーは2本ともグンニャリ曲がって元の形を留めてはいなかった。

壊れたハンガーをゴミ箱に投げ入れると私はフロントへ降りた。

改めて正式にチェックインをするためだ。


予想通り今度も同じ部屋に通されたが、

案内してくれたホテルスタッフはしっかりと両脚で立っていた。


 ホテルは通常のあるべき風紀を取り戻したようだ。


ホテルスタッフから用心のため使うように言われたセーフティボックスを開けると

今回のギャラがしっかりと入っていた。













子どもをキャンプ場なんかに

連れて行くんじゃないョ!


自然は大人を子どもにし

小さな娘が大人の女になっちまう場所なんだ


アニメばっかり読んでるお嬢ちゃんの

パパとママによく言っておあげ...



            Rav(La vie!).Hiroaki Ohori


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